gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

幻想

良いことがあれば、それがずっと続くのではないか、という幻想を抱く。それが人間の常である。

だが、ずっと続くものはほとんどない。幻想は崩壊し、その原因が人為であれば人は怒りを感じ、その原因が自然であれば、悲しみを抱く。

ということは、そもそも良いことがなければ、幻想はないのだがら、怒りも悲しみも生じない、ということになる。

怒りや悲しみを抱くことは、人生が無ではないことを証明するものである。

陽向の最初の大きな悲しみは、断乳の経験だったと思う。陽向なりに母親の拒絶の理由を理解しようともがく心が感じ取れた。

おそらく、失恋に匹敵する痛みを感じたのではないか。もちろん、失恋の頃には、それを憶えているわけもないが・・・。

これからも良いことを経験するたびに、それが持続するという幻想を抱き、そして、それが崩壊しては、怒り、そして、悲しむことを繰り返すだろう。

人間は、そのような経験の中でしか、強くなっていかない。

私たちは、陽向が子供のままでいてほしいという幻想と闘いつつ、陽向の悲しみに冷静な視線を向けて、それを祝福しながら見守らなければならない。

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