gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2011.1

国立競技場のやわらかな光

帰り道に国立競技場からふわふわと揺らめく光が見えた。幻想的とも言える風景である。工事中のネットが、内からの光で照らされているためだ。夜間の工事現場には、時折、思わず立ち止まってしまうような光の世界を見つけることがある。

関 園子さん

GF青山オフィスの近くにはギャラリーが多い。歩いて30秒のところに、ギャラリー2104はある。そこで冬になると必ず写真展を開かれる関園子さんという私の母くらいの年齢の女性がいて、私は毎年それを楽しみにしている。いつもお出かけになるときは、…

映画 バグダッドカフェ

大学時代に流行った映画で、これまでに3回観ている。好きな映画の一つだ。私の叔母によると、この映画の特徴は「美男美女がひとりも出てこない」ことだと言っていた。確かにそうだ。叔母さん曰く、「映画館へは夢を見に行くわけだから、美男美女が出ない映…

映画 ウォルター少年と、夏の休日

私が20歳のころにアフリカを旅しようと思った理由のひとつは、自分が爺さんになったら、「お爺さんはね、若い頃にね、・・・」と孫に冒険話を聞かせたい、と思ったからだ。老人は、常に若い人間よりも、スケールのでかい不良であるべきだ。この映画のストーリ…

chana company (東京ビッグサイトの展示)

現在、東京ビッグサイトで行われているJFW International Fashion Fairに出展されているchana companyのブース。chana companyは、ショールームの写真をこのページのタイトルに使わせていただいている。今回も、幾何学を用いてインパクトのあるデザインを追…

日本代表の応援

サッカー日本代表の試合をついつい夜遅くまで観た。別に知っている人がいるわけでもないのに、日本と聞けばなんとなく応援してしまうのは、自分にも愛国心があるということだろう。では、日本が勝つことは、私にとってなんの意味があるだろう。きっと日本の…

子供との時間

陽向はもうすぐ11カ月。私も妻も仕事をしているから、陽向は生後3カ月で保育園に通い始めた。これまで、仕事中心の生活をしてきた二人は、陽向が生まれてもそれを変えたわけではない。だが、仕事のために、陽向を保育園に預ける、という考え方をしてはい…

建物が要求する空間

現在、吉祥寺で進行中のプロジェクトは、バブル期に建てられたビルの3階に居酒屋&バーをつくろうというもの。さすがはバブル期の建物で、ただの四角い箱ではない。近未来的なかたちをした、面白い空間だ。スケルトン状態の空間が、私たちに語りかけてくる…

冬枯れ

例えば、こんな風景に心が癒されることがある。

100年後の世界

時折、未来の世界について想像しようとする。根拠付けをきちんとして、予想するというものではない。自分の希望的未来を描くだけのことだ。目をつぶって、描き出す2111年。都市の姿はあまり今と変わらないが、田舎の風景は変わるだろう。現在、田舎は不…

映画 沈まぬ太陽

会社とは何なのか?働くということはどういうことなのか?終身雇用が崩れたといわれる今日、一つの会社で定年を迎えるまで勤め上げる人はどのくらいいるのだろう?昭和の時代を描いた映画である。現代の若者は、こんな仕打ちを受けるのなら、辞めちゃえば、…

美容室 my time

1月5日にオープンした練馬駅近くの美容室my time。コンセプトは「都会のログハウス」。ログが積み重なる水平のラインを強調した。ログの裏では、しっかりとスチールが支えているが、グリッドフレームは鉄だけではない、ということが証明された、と思う。そ…

デザイン中

デザインを自分の中から生み出そうとするときは、せわしなく立ったり、座ったりを繰り返す。ひとりごとも多くなる。はたから見ると、ちょっと変な人だろう。しかし、そうしないと、うまくつかみだせない。急いではいけない。やわらかく、ふんわりと、包み込…

四十九日 その2

前回、父の葬儀で熊本へ帰ったときは、2日間をとても長く感じた。父が亡くなり、棺に横たわり、体が熱を失い、火葬場へ運ばれ、骨になるまでの2日間。私たちは濃密な時間とともにあった。たくさんのことがこの2日間で変わった。それから四十九日までの時…

四十九日

父が亡くなってから、あっという間に四十九日経ち、熊本へ帰った。浄土真宗では、四十九日の法要で、死者は浄土へ旅立つ、という。遺族はしかし、実感が湧かないままだ。こたつを囲んで家族で話をしていると、横には父がいるような気がしてしまう。誰の法事…

運河に映り込む光

羽田空港からモノレールに乗って、運河に映り込む光をぼんやりと見つめていた。工事現場の灯り、外灯、窓の灯り、様々な灯りには、機能があり、意図がある。だが、運河へ映り込んだそれらの分身は、機能もなく、意図されることなく、しかし、確固として存在…

飛行機の座席

飛行機に乗って後ろの方の席に座ると、座席は前を向いてぎっしり窮屈に並んでいる。何だかそれが非人間的な光景に見えてきた。以前、ボルネオ島でジャングルへ行った帰りに、飛行機がなかなか取れなくて、貨物のための飛行機で帰ったことがあった。米俵の上…

凋落

季節でいえば、冬が好きだ。寒さが最も厳しい時季が好きだ。理由は、ここまでくれば、気温は上がる一方だからである。サイン曲線の下げ止まりのポイントが好きだ。つまり、上の方にいることを好ましく思うがゆえに、下の方にいながら希望を抱くときを好むの…

小女郎さん

京都・吉田山中腹にあるバー白樺には、個性的な客が多かった。その最たる一人は、小女郎さんだ。(おそらく本名ではないだろうが、だれも本名を知らない)京都らしく着物を着ておられた。髪は肩より長い。細くて、背が高い。身長推定180センチの長身に、…

つむじ

ベビーカーを押しながら、陽向のつむじに見入る。調べたところ、人間は、頭頂部と肛門付近を結んだ線を軸として、妊娠初期に皮膚が回転し、両極につむじができるそうだ。陽向が空中でくるくる回転している絵が浮かんでくる。

うれしいことがあった

今日はうれしいことがあった。本当のうれしいこととは、たぶん派手なことではない。それは、人にうまく言えないような小さなことだ。いつの間にか、目を細めているような、自分でも、どうしてそんな顔をしているんだろう、と鏡を見て気づくようなことだ。た…

天井のトラス

吉祥寺の居酒屋(名前は未定)は、バブル期に建てられた凝ったかたちのビルの中で空間づくりが進行している。近未来的な空間をスケルトンのかたちが要求してくる。天井は、迷わずトラスを採用。写真は、光の具合をテストするために、ダンボールでシュミレー…

枝のレイヤー

すずかけの木(プラタナス)の大木を下から見上げると、枝のレイヤーが美しい。青い空を背景として、陽のあたる高い枝が白く、陽のあたらない低い部分が黒く重なる。ゆっくりと歩きながら、レイヤーの変化を楽しむ。冬でなければできない楽しいことはたくさ…

冬のイチョウ並木

1月のイチョウ並木では、こんな影の上を歩く。

粘る人間

今、グリッドフレームのスタッフを募集している。何名か応募者がいるが、中には名前と連絡先だけで、志望動機も職歴も書いていない人もいる。それなら応募なんてしなければいいのに、と思う。もしもその会社で働きたければ、何度か断られてもあの手この手を…

映画 青い棘

1927年のドイツが舞台である。上流階級の若者たちのパーティは、この時代にして、こんなにも頽廃的だ。映像はただ美しく、バカ騒ぎと死は、すぐ隣合わせにある。死の理由は簡単には理解できない。19歳にして、人生の最も輝いた瞬間を過ぎ、その後はた…

sustainability(持続可能であること)

15年ほど前、アメリカで建築の研究をしているとき、stainablity(汚しうること)という言葉をつくり出し、汚しうる美について論文を書いた。ちょうどそのころ、sustainability(持続可能であること)という言葉が流行りだし、担当教授に「stainable beauty(…

海野次郎 2

6月に東京で個展をされる予定の海野次郎さんから、空間づくりのご相談をいただいて、奥多摩のお宅を訪ねた。海野さんは、既成の画廊に絵を並べることに違和感がある、といわれる。それは傍から見ていても、感じているアートの世界の不可解なところであった…

九州男児

九州男児は、一般に亭主関白だといわれる。亭主関白というと、強い男のイメージがあるが、そのイメージとは裏腹に、奥さんに対する依存度はとても高いのだと思う。きっと亭主は、奥さんを内在化してしまうのだ。だから、奥さんがひとことネガティブなことを…

映画 皆月

みんな月でした もう我慢できません さようならという書置きを残して、妻が蒸発してしまったシーンからこの映画は始まる。この始まりが既に退屈である。私は太陽の光がないと輝けない月です、と言われても、あらそうですか、としか言えない。あまりにも使い…