みんな月でした もう我慢できません さようなら
という書置きを残して、妻が蒸発してしまったシーンからこの映画は始まる。
この始まりが既に退屈である。
私は太陽の光がないと輝けない月です、と言われても、あらそうですか、としか言えない。あまりにも使い古された比喩であるし、その向こう側に全く奥行が感じられない。
しがないサラリーマン、ソープ嬢、チンピラという記号のまんまの3人が、サラリーマンの逃げた女房が持ち逃げした金を追う、という展開自体、みんな月でした、としか言いようがないだろう。
映画の中で、言葉を先に持ってくるのは危険である。