仕事のことで、たまにインタビューを受けることがある。インタビュー終了後、充実した話ができた気になるかどうかは、私の調子よりも聞き手の「話を引き出す力」にかかっていると思う。聞き手の力は絶大である。
では、聞き手の能力で一番大切なものは何だろう。話し手に対する知識だろうか。それとも会話のテクニックだろうか。
おそらく最も大切なのは、話し手がやろうとしていることに共感することである。共感を得ることによって、話し手は初めて創造的に話すことが可能になるのだ。
クライアントの想いを実現する仕事も、同じである。
まず、クライアントの想いに耳を傾けて、想いに共感することが大切である。共感する力は、仕事を受ける側の「よい仕事をしたい」という気持ちを強めるだけでなく、クライアントの創造性を引き出すことにつながる。
双方で創造性を発揮することによって、初めて想いは実現する。
今の世の中に欠けているのは、この共感する力である。プロはプロとして頼まれた仕事をきっちりやればよい、と考えている人が多すぎるのである。