gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

発明屋

小学生のとき、別冊マーガレットの愛読者だった。二つ上の姉が毎号買っていたからである。

その頃、こやのかずこ、という人が「あいらぶ湯」というシリーズを描いていた。銭湯を営む家の娘が主人公だった。そこに「発明屋」と呼ばれる変なものばかりを発明する人が出てきて、毎回、彼の発明品が様々な問題を起こしては、おかみさんに怒鳴られる、という設定が大好きだった。

また、大林宣彦監督の映画「おかしな二人」にも、似たような「発明屋」が出てきて、やはり大好きだった。おそらく他にも「発明屋」はたくさん登場しただろう。

私たちが子供の頃は、このような人たちの存在にリアリティがあった。自分のアイディアで未来を明るくする、という信念が彼らを動かしていたのだろう。

結果的に失敗作ばかりだろうと、彼らの信念に基づいた挑戦は、何にも増して美しい。

かつて「発明屋」だった方は、失敗したものの残骸が残っていたとしたら、ぜひ個展を開いていただきたい。それは、前を向いて生きたことの証明である。私は残骸が放つエネルギーを受けに、どこへでも見に行くつもりだ。

グリッドフレームも、いろんな発明に挑戦したいと思っている。失敗を恐れはしない。なぜなら、たとえ失敗したとしても、そのようなものが放つエネルギーは空間の質を高めて余りあることを知っているからだ。

私たちは、現代の「発明屋」でありたい。