柄本明という人は、自意識を抑えようとする。
「台本に書いてあるセリフをただ『言っているだけ』なんですけどね。役者っていうのは、そういう仕事ですから。」
「表現しようとして逆に表現できないことに気づくこともあるし。」
ある意味、ロボットのように、台本に忠実にふるまう。なぜなら、自分の肉体を通して、ただ演じるだけで、自我は出てしまう、からである。
演じることは、自我が出ることとの闘いと言っている。
これは、広い意味でつくることを生業にするときに、必ずぶつかる問題である。柄本明と全く同じ意味で、私たちグリッドフレームは、「なる」の空間をめざしている。
「全部言われた通りは無理だけれど、互いにわかり合えるものは共有して完成させていこうとするところが好きなんでしょう。」(どらくインタビューより)