gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

横浜

横浜で動いているプロジェクトがあり、横浜という場所性について考えている。


横浜市は広く、郊外にはニュータウンがあり、安全でおしゃれな、そして表層的な町をつくりあげているが、横浜市の中心部は、日本の玄関口として栄えた150年以上の歴史のある港町で、開港、震災、復興、大戦、連合軍による管理、高度経済成長、埋め立てによる港の拡張、という大きな流れの中で変遷するうちにできあがった混沌とした町である。


幕府が小さな漁村に過ぎなかった横浜を開港の地に選んだのは、外国人と日本人を遠ざけるため、交通の頻繁な東海道の宿場を避けたからだという。

人目に触れない場所で、日本を変えるプロジェクトが着実に進行していたわけである。おそらく横浜を選んだ幕府の目は正しかったろう。人心の混乱を最小限に止めて、横浜は外国人と日本人の触れ合う港町に発展していったのだろう。


風が吹くところに吹き溜まりができるように、人や物が多く出入りする場所には溜まり場ができあがる。周りの変遷をよそに、変わらない何か、を求めて、人々はそこに集う。

そのような場所は片方が開いて、片方が閉じている。ちょうど袋小路のような場所である。風はそこに溜まって、くるくると渦を巻く。変わろうとする力が強いほど、変わるまいとくるくると渦を巻く力も強くなる。

どうやら、日本一の港町である横浜は、風通しのよい場所と吹き溜まりの場所が隣接し、両者が強大なエネルギーを発しているところに魅力があるようだ。