gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 戦火のナージャ

2010年、ロシア。

太陽に灼かれて」の16年ぶりの続編。

前作がすばらしかったので楽しみに観たが、比較に値しないもので残念な気持ちだけが残った。

前作で死んだとされる人間たちが、全員生きていたことをはじめ、設定があまりにも生ぬるい。

意図に反して動いてしまう悲劇的人間の残酷さは消え失せ、単なる善人ばかりの奥行きのない脚本は、いったいどうしたことだろう?

ほとんど人を殺すシーンのなかった前作には、まるで超低周波音のような恐怖が潜んでいたのに、山のように人が殺される本作には、全くそれがない。

ロシアは完全に資本主義国になったということだろうか。前作はまだソ連が崩壊してから5年しか経過していなかった。おそらく前作の何倍もカネをかけたであろう本作には、もうかつてのロシア映画の重厚感は面影もない。

つくられる必要のなかった映画だ。

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