2010年。フランス・ベルギー・チャド。
舞台は、現在も内戦が続くチャド。
息子に自分の仕事を取られた父親が、息子を戦争に行かせてしまう。と、書いてしまえば、一般的には、なんとひどい父親か、ということになるだろう。
だが、その仕事が父親の人生そのものといってよいものだったらどうだろう?それをまだ無邪気な息子に取られてしまったら、どうするだろう?
父親は自分のしたことを悔いて、戦地までバイクで息子を迎えに行き、負傷した息子を連れて帰る。
アフリカの大地は、ただ乾いて、人を寄せ付けない。舗装はされておらず、砂埃が舞い上がる。ただ、延々と同じ景色が続く。
結局、途中で息子は息を引き取る。
こんなにも慈しんで人々は生きているのに、なぜ社会は人を虫けらのようにしか扱ってくれないのだろう。
アフリカ、最貧国チャド。終わりなき叫びは、声を発することがない。