gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

考察

核家族的

ぼくは、生まれてからずっと核家族の形態の中に生きてきた。だから、三世代で住む、ということを経験したことがない。愛に包まれて育てられた、という実感は強い。けれど、祖父母が一緒にいたら、また違っただろう。両親は、年に2回は必ず、祖父母のいる実家…

どうすることもできない

漱石がどうすることもできない人間の姿を描いたのは、彼の内から出てくるものを文章にした抒情詩的な作品ではもはや表現しえない世界を、彼が見出していたからだ。それらの作品は、彼が生きている現実の重量に匹敵しえない。そのような変化が漱石にも、柳田…

俗的であること

俗的な人生をわざわざ選ぶということがあるのだろうか? ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による店舗デザイン:マテリアルス実験工場

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

意味は、「神よ、神よ、なんぞ我を見捨てたもうや!」キリストが十字架で最後に叫んだ言葉、と言われる。そのように叫びたくなるような経験をする人はどのくらいいるのだろう。 森敦の「意味の変容」に、「神もまた矛盾として実存する」という言葉がある。外…

気に入っているもの

「日常的なもの、身の回りにあるもの中で、あなたが気に入っているデザインはありますか?」という問いに答えて・・・ 日常的なもの、身の回りにあるものの中で、気に入っているものは、人間の意図が感じられないものが多いようです。例えば、しばれ硝子のコッ…

都市を動かす力

東京R不動産の林厚見さんがブログで、都市を動かすのは「資本・技術・欲望」だと語っている。それに対して、建築家は資本の力を批判し、技術にあまり関心を持たず、欲望は3%のインテリにしか理解されないような人が多いから、都市に影響を与えられない、と…

ハチの15度

ハチは蜜を採取する花の集まりを見つけると、集団で会議を開き、飛んでいく範囲を決めるそうだ。そして、その範囲は、情報を集めるときに飛んだ範囲より15度開いているそうだ。その15度で、新しい何かを見つけていく。未知の未来へ向かって開くための15度。…

大きいこと

大きいとか、小さいとかは外から見ていえることであって、内から見れば大小はない。例えば、天皇だったり、首相だったり、大企業の社長だったり、国というレベルの存在の人と、自分は別世界にいる、と思って生きている人はとても多いだろう。ぼくもそうだ。…

日本から海外への贈り物

日本から海外へ配信したい、店舗デザイン・建築・プロダクト・モノはありますか? という問いに答えて・・・元来、日本独自の文化は、氷河期から温暖な気候への変化とともに現れた、豊かな森林での生活に始まっていると思われます。縄文時代と呼ばれる、一万…

日本の空間

今そこにあるものに可能性を求めて、つくらない、ということに尽力する。そうして、つくるものを極限まで減らして、つくるものには心置きなく手をかける。突き詰めていけば、まったくつくらない、という答えにたどり着いてしまうだろう。ただ、そのままの自…

飽きられる空間

「インパクトの強い空間は、飽きられてしまいませんか?」いや、問題は「インパクトが強いか、弱いか」ではなく、「閉じているか、開いているか」なんです。開いていれば、変遷することができます。いつも何か違うものを発見することができるはずです。 ← 創…

長期的視野

日々の暮らしに追われながら、長期的な視野を持つことは簡単ではない。多くのアーティストたちは、いつもそのような精神的な闘いの中にあるだろう。逆に、そのような闘いの中にある人をアーティストと呼ぶのかもしれない。そして、長期的な視野を持つ企業の…

意味の変容 メモ

今目の前にある意味を取り去って、構造することで、新しい意味が得られる。意味を取り去る人には感性や直観が求められる。頭の中になにか新しいイメージが降ってきて、ぼんやりとしたゴールが見え隠れする。そこで消えてしまうこともあるし、だんだんと明瞭…

人間として

人間として、どのように行動すべきか?ぼくらは、急遽その判断を迫られることがある。そして、そのときに、何かに足枷をされている自分に気づくことがある。足枷のない人になりたい。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験…

リアルな空間

私はニューヨーク州バッファローで建築を学ぶことになって、廃墟のような町で、模型の材料集めにスクラップヤードに通った。うず高く積まれた、捨てられたもの、の山には、ベンツのボディとファミリーカーのボディが何の区別もなくただの鉄の塊として積み上…

外部的なるもの

外部的なるものが欠けている全てのものは、リアルでない。リアルでないものには、心が動かない。心が動かなければ、人間は前に進めない。前に進めなければ、生まれてきた意味はない。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験…

働く場所

働く場所はこうありたい、という意見はさまざまだろう。ぼくは、店舗空間にもオフィス空間にも、大きく分けて次の三つの要素があると思う。 1.機能的要素・・・機能に関わるもの。これがなければ、営業が成り立たない不可欠要素。 2.一般的要素・・・誰にでも…

快適という言葉

だれもが「快適」と思うような環境に身を置きたいとは思わない。不快を求めることすらある。あるクライアントは、空間は「不快でもいい」と言われた。大切な軸はそこにはない、ということを知っている方だ。。眼前のものに突き放されるような体験を坂口安吾…

人を変える空間

今までに建築空間を経験して、自分の人生に影響を与えた、と感じたことはあるだろうか?例えば、一冊の本が人の人生に影響を与えることはある。その本に書いてあることを理解しようと考えることを繰り返しているうちに、頭の中にある構造ができる。構造にた…

インダストリアル

インダストリアルは、通過した一つの時代を表すだけでなく、人類の到達したひとつの普遍的なかたちを表している、と言えはしないか。なぜなら、その後、時代はコンピュータ時代へと入っていき、機械部分はブラックボックスの闇の中へ消えていったからだ。人…

意味と構造

『意味の変容』の中で、何度も繰り返される次の言葉。意味を取り去らなければ、構造することができない。構造しなければ、意味をなすことができない。この言葉をどのように自分の中で育てていくか。現在の答えはこうだ。今、目の前にあるすべてをニュートラ…

peeling off

『意味の変容』の最終章のリンゴの皮を剝くくだりは、そのまま人の一生をイメージさせる。スルスルと剝かれゆくリンゴの皮は、過去・現在・未来を象徴する。まだまだリンゴは半分しか果肉を露わにしていないだろう。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グ…

完成度に対する感覚

内装で完成度が問題になることの脱力感については、今まで何度も書いてきた。http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20110723けれど、ぼくが何度それについて書こうと、現実には、「普通はこうでしょう」というクライアント側の一言で、延々と完成度を上げる作…

旅人として

旅をするようにつくる、と言ったときに、具体的にどんなつくり方をするのか。旅人は、今を大事にして、好奇心旺盛で、自由で、気まぐれだ。そんな旅人として、空間をつくりたい。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しな…

みんなで決めない

複数の人で一つの物事を決めるとき、コンセンサスをとろうとするのが一般的だ。それは、それぞれの意見の重なり合う部分をとる、ということだ。だが、それぞれの人間の部分は、重なり合わない部分にこそ存在していて、それを捨ててしまうならば、そもそもそ…

コンセプト

「創造性の連鎖」は分かりにくいと言われている。それは、空間に対して、ぼくが求めているものが、世の中の一般的なそれとは、逆だからである。「空間は、開いていなければならない。」ぼくは、旅の経験などから、人々が最も良い状態でいられる空間の条件は…

空間アーティスト集団

ぼくらを自称・空間アーティスト集団と呼ぶことを内部から批判されることがある。恥ずかしさ、狭さ、古さを感じる、と。確かにそんな面もあるかもしれない。SNSの時代になって、デザインを他人に任せる、という人が減ってきている。まして、アーティスト集団…

公共的であること

世間の仕事には、お金を稼ぐことが第一義の仕事と、社会のためになることが第一義の仕事との二つがある。当たり前のことだが、これは、それぞれの人間の意識の問題であって、公務員が後者であるとは限らない。真に公共的な仕事とは何か、を考えてみたい。 ← …

忍ばせること

あからさまに示すことではなく、忍ばせること。ぼくらが本当に大事にしなければならないのは、そのような創造行為だ。豊かさ、多様性を持つとは、大事なものが隠れている、ということなのだ。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラ…

店舗にまつわる誤解

店舗の空間をつくる仕事を始めて19年目になるが、人によって「店舗」というものに対して描く全体像には大きなズレがあることをひしひしと感じながらやってきた。 店舗の価値には、大きく分けて次の三つの要素があると思う。1.機能的要素・・・機能に関わるも…