「日常的なもの、身の回りにあるもの中で、あなたが気に入っているデザインはありますか?」という問いに答えて・・・
日常的なもの、身の回りにあるものの中で、気に入っているものは、人間の意図が感じられないものが多いようです。例えば、しばれ硝子のコップとか・・・。ひびが入る方法を考えるのは人間ですが、ひびの形状自体はコントロールできない、自然として表れる。気が付けば、いくら眺めても飽きないのは、そのような自然のようです。
だから、デザインすることは、目的を立てて、そこへたどり着こうとすることなのですが、その向こうにコントロールできない自然を生み出すことこそ大切なのではないか、と考えています。
つくる、という行為の中では、必ずといっていいほど思い通りにいかないことに遭遇します。それを避けることができるのがプロだという一般常識がありますが、むしろ、そこにしか未知の領域を切り開く亀裂はありません。
しばれ硝子も、きっと失敗からの産物なのだろうと想像しています。