gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2015.3

桜の下に

帰り道に陽向と桜並木を歩く。仕事で少し遅れた妻が、ぼくらに追いついてきたのをぼくだけが気づく。すると、ぼくは「この桜、きれいだね」といって上の桜を指差して、陽向の目を上に向ける。それから、指先を少しずつ水平に戻して、「あっ、ママだ」という…

ディスカッション

全ての人が「創造的につくる」社会はすばらしい。それが、「創造性の連鎖」の根底にある考えだ。だが、だれもが何かを与えられて、「はい、創造的につくり変えてみて」といわれても、やり方がわからない人がほとんどだ。そんな現状を打開するために、創造力…

映画 そして、私たちは愛に帰る

2007年。ドイツ・トルコ・イタリア。ドイツとトルコを舞台に描かれる、3組の親子の物語。3組の親子が互いに複雑にからみあう糸のように関係をなし、時に互いを救い合う。この6人のうち、2人が死ぬことになるが、その死はあたかも犠牲祭のいけにえの…

白紙

ぼくは002と一緒にクライアントにお話を伺いに行く。002は、頭の回転が速く、クライアントの一つ一つの小さな課題に対して即座によい提案を返すことができる。一方でぼくは、静かにそのやり取りを聴きながら、全体のイメージを捉えようとする。ぼくは…

植物

春になり、花が咲く。それに心を打たれるような何かを感じるようになったのは、ほんのここ最近だ。一旦、感じるようになると、感じなかった頃の自分は何を見ていたんだろう、と残念な気持ちになる。でも、ひょっとしたら、ぼくはそのころにはできた何かを、…

卒業

ぼくは卒業という節目をあまり大事にしてこなかった気がする。いつも、新しい始まりの方に気をとられて、過去をふりかえる余裕がなかったのかもしれない。感傷に浸るような気持ちになった記憶もない。いつも過去よりも未来の方が大事で、現在を未来のために…

出る/入る

建物から通りへ「出る」。この場合に、「出る」という言葉しか使えないように思う。しかし、例えば、建物から通りの人混みの中へ「入る」と言えば、おかしな感じはしない。外と内は、視点によって容易に入れ替わる。だから、ホテルの廊下から部屋へ「出る」…

博物館の恐竜の骨

恐竜博物館へ行くと圧倒される、あの発掘された骨で復元された恐竜の姿。もちろん、全てが発掘されたものでできあがっているわけではない。見つからない骨は、石膏などでつくられたものであることをぼくらは知っている。けれど、ぼくらはそれ全体をフェイク…

ノリノリであること

職人さんとデザイナーのコラボが成功するときは、職人さんがノリノリで参加するときだと、墨田区のトークショーでデザイナーヴィレッジの鈴木村長がおっしゃっていた。弊社の協力業者さんも、ノリノリで新しいことを面白がってくださる方がたくさんいらっし…

ほめられること

陽向はほめられることを喜ばない。もちろん、叱られることはきらいだが、ほめられるためにがんばろう、というモチベーションはあまりないようだ。ぼくはほめられると木に登るタイプだったから、なかなか彼のモチベーションを上げるツボがわからない。これか…

MICHAEL KENNA

マイケル・ケンナの写真は、それが風景写真であることを忘れてしまうものが多い。https://www.tumblr.com/reblog/108565563277/0ZNgwPY2特定の土地でありながら、ぼくらは、どこでもない不思議な空間へ連れて行かれる。これは、空間をつくる中でぼくらがいつ…

映画 田舎の日曜日

1984年。フランス。20世紀の初め、自然豊かなパリ郊外に老画家が家政婦と共に暮らしている。ある初秋の晴れた日曜日、いつもの様にパリから息子夫婦が三人の孫を連れてやって来る。そこへ不意に、自慢の娘イレーヌが久しぶりに立ち寄る……。全体が些細…

リラックス

一日でいちばんリラックスしている瞬間はいつか?きっとぼくにとっては、デザインについて考えているときだ。寝ている瞬間も、デザインをしているときほどには、リラックスしていない。最近は、走っているときも、デザインについて考えている。 ← 創造性の連…

ラーメン屋さん

ラーメン屋さんは汚い方がうまい、と子供の頃はよく言っていた。家族でよく行った久留米の丸星ラーメンなんて、器を持つおばちゃんの親指がスープの中に入った状態で運ばれてきたが、「それが隠し味」という冗談で済む時代だった。汚いラーメン屋さんが、と…

ハーフマラソン

フルマラソンを走るようになると、ハーフマラソンの21kmは微妙な距離になってくる。というか、愉しめる距離になってくる。以前は、走りきることが目的だったのが、余裕があることを前提に走れるからだ。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレー…

英語の能力

日本人が英語を話せない、根本的な理由は、白人に対するコンプレックスにある、と英語教材の広告ビデオで語られていた。他人事のように聞き流したかったが、ぼくもそれに当てはまるのだ、ということを発見してしまった。恥ずかしながら、目からウロコだった…

デザインの日曜日

じっくりと陽向と一緒に過ごすのは、日曜日しかないにもかかわらず、ときおり日曜日がデザインの日になってしまうことがある。罪悪感を感じつつ、ひとり会社で音楽を聴きながらデザインを進める。正直言って、それはそれでとても充実している。デザインから…

アイディアの深度

新しく事業を起こす人の空間をつくらせていただくことが多い。そのときに気になるのは、その人のアイディアの深度だ。伺った瞬間に、「これはお手伝いさせていただきたい」と思うのは、深いところから来たアイディアだと直感したときだ。ファッションとして…

漂着した船

砂浜に漂着した小さな船。波に洗われるうちに、ほとんど骨組だけになって、それも半分は砂に埋もれている。いつかは全部が砂の下に埋もれてしまうのだろう。一体、いつ、どこの港を出発したものなのか。もう誰も知らない。漂流しているうちに、だれもがその…

GECKO(ヤモリ)

ヤモリは今夜も月を見ているのだろう ピクリともせず、窓にはりついて 月を背景にそのシルエットを浮かび上がらせている すっかり月を見なくなった人間の代わりに 家の守り神となって、 きっとヤモリという名前を与えられたのだ 月の光を一身に浴びて 得られ…

うた

下手なギターでうたを歌う。うまく歌えるまで、歌う。うまく歌えたら、呼吸がいい状態に戻る。呼吸がいい状態になったら、やるべきことに戻る。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による店…

広葉樹

京都のワカキチが東京へやってきたから、いっしょに飯を食べる。大工である彼によると、日本の森林には、直径60センチもある立派な広葉樹がたくさんあって、森林が開発によって伐採されると、そのままチップ工場に送られてしまうらしい。一方で、市場で、広…

生き物

今年は1月から2月の前半にかけて、ずっとHPを触ってきた。触ると、植物に水を与えたように、HPを見たたくさんの人が問合せをくださるようになる。そして、安心して放っておくと、半月もすれば、だんだん問合せも減ってくる。アクセスを調べると、ほとん…

日曜の朝

日曜の朝に、カフェでおいしいパンを食べたい、という妻の願いをかなえるため、ランニングに出るとカフェを探す。小さな路地へ入っていくと、隠れ家的な店が見つかって愉しい。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しなが…

映画 メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬

2005年。トミー・リー・ジョーンズ監督。メキシコからの不法入国者を取り締まる国境警備隊員マイク。彼は、誤ってひとりのメキシコ人メルキアデスを射殺してしまうが、人目がつかない場所へ彼を埋めて、その事件を隠蔽しようとする。しかし、野生のジャ…

仮設的であること

仮設的な建物や空間に対して、ある種の憧れを持っている。ぼくらが自由に生きるためには、自分が何を持っているかを見つめ直す必要がある、と考えて、できるだけ何も持たないように生きることを始めた人たちをミニマリストと呼ぶらしい。それと少し似ている…

バレエ

バレエの空間には、連続アーチが似合う、という印象がある。アーチの空間は、立面にカーブが生じるため、平面図はむしろ直線的になる。このことが、きりっとした緊張感ただよう空間をつくることになる。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレー…

地方のレポート

朝の番組などで「秋田の○○さ〜ん」みたいな、知らない土地のレポートを観るのは以前はとても退屈に思っていた。でも、今は逆だ。住んでいる場所の情報以上に、知らない土地の情報に興味がある。これは自分の中の変化というよりは、時代の変化なんだろうと思…

ひなまつり

陽向の通う保育園には、りっぱな雛人形が飾ってある。ひとつひとつの人形を静かに眺める時間は悪くない。内裏雛は、天皇・皇后を表すそうだから、ひなまつりとは、天皇を頂点とする取り巻きのピラミッドを眺めて、桃の節句を祝うお祭りなのだと今更ながら知…

記念日

記念日を祝うための空間について、考えている。その日を思い出に残すために、インパクトの強いハレの空間がよいだろう。一方へ向かって開いた空間をつくり、その方向に視線を集めて、その経験をみんなで共有する。書いてしまえば単純だが、記念日にふさわし…