ぼくは002と一緒にクライアントにお話を伺いに行く。
002は、頭の回転が速く、クライアントの一つ一つの小さな課題に対して即座によい提案を返すことができる。一方でぼくは、静かにそのやり取りを聴きながら、全体のイメージを捉えようとする。
ぼくは、頭の中を白紙にして聴くタイプの人間だから、クライアントの言葉ひとつひとつに、即座に反応することはできない。伺ったお話は、その場ではぼんやりとした輪郭をしていて、その後数日かけて、だんだんとピントを合わせる。
そんな旧式の機械みたいな自分だから、最新式の機械のような002との組合せで初めてよい仕事が可能になる。
白紙で居させてくれることに、ぼくは言葉では表せないくらい感謝している。