京都のワカキチが東京へやってきたから、いっしょに飯を食べる。
大工である彼によると、日本の森林には、直径60センチもある立派な広葉樹がたくさんあって、森林が開発によって伐採されると、そのままチップ工場に送られてしまうらしい。
一方で、市場で、広葉樹の木材を買えば、高級材として輸入材を買うことになるそうだ。チップ工場へ売られる値段の数十倍で。
どの分野でも、国策がらみの現場では、このような転倒があたりまえに存在するだろう。
このような現実をどのようにとらえるか。そこに人間が表れる。
ワカキチは、身近の森林にそんな広葉樹を見つけては、持ち主と交渉し、1本1本、彼の制作に生かしている。
いつ会っても、日焼けしていて、自分の体を使って、ものと向き合ってきた彼のエネルギーは、とても気持ちがいい。