gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

風雨に晒された壁を内装に持ち込む 1

外で風雨に晒されて、長い時を過ごした建物の壁には、その場所の歴史が刻み込まれた豊かな表情のものがたくさんあります。

しかし、そのような古い建物は、一瞬にして壊され、この世界からことごとく姿を消していきます。

そのままにしていては失われてしまうものを、私たちは内装に持ち込むことによって、今までになかった感度の高い、新しい空間をつくることを始めました。



空間の「質」について人が語るとき、いつも忘れがちなのは「時間」という要素です。多くの場合、真新しい材料のみで空間がつくられるとき、「空間も生き物と同じで、時間とともに老いる」ということが忘れられています。

しかし、時間という自然の作用が、むしろ空間の魅力を増してくれることがあるのを、人は結果としてよく知っています。

私たちは、創業以来20年に亘って、古いものの持つ魅力を新しい空間づくりに活かす工夫を続けてきました。現場のスケルトンの状態に場の歴史を感じることができれば、それを生かすプロジェクトも多数実現してきました。

そうやって、長く愛される空間をつくることができると考えたのです。その効果は、私たちのつくらせていただいたお店に、長く続くお店が著しく多い、という結果に表れているかもしれません。

古いものの持つ魅力を新しい空間づくりに活かす、という私たちのコンセプトをさらに徹底するために、創業以来、ずっと温め続けたプロジェクトを始動しました。

それは、外に在って風雨に晒され、風化したものから、心にかかるものを見つけ、それを新しい内装空間に持ち込む、というものです。

壊れゆくものを、新たにつくるものと共存させることで、重層的な時間を感じられる空間になり、より感度の高い人々を惹きつけることができるようになるでしょう。



グリッドフレームのHPへ ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム

マテリアルスのHPへ ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による店舗デザイン:マテリアルス実験工場