gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

鋸南エアルポルト2

鋸南町の人口は7500人。海も山もあって、美しい自然へのアプローチも近い。

佐谷さんは1年の半分をこの町で過ごし、この町の未来について考えている。

 

この町には、佐谷さんの友人が古い空き家を買い取って、新しい施設がつくられ始めている。その友人は、ちょうど知り合いを集めて家の改装中だった。

 

町おこしの一つの傾向として、素人で集まって新しい施設をつくる、ということがある。

 

一体感があり、コミュニティのつながりも強化される、という良い面がある。予算も最小限で進む。ぼくは、そのようにしてできあがった空間が決してきらいではない。

 

しかし、素人による空間づくりに精神性を感じることは稀である。集団で愉しみながらやることと、個人がモノに向き合ってやることの違いは大きい。

 

だから、一人が時間をかけて、こつこつと進めていくような、海の漂流物を拾い集めてつくった伴野一六の家などは素人だとしても例外的である。こだわりの度合いが破格だ。

 

このような例は、ずいぶん古い話で、現代ではそこまでこだわりを持つ人はあまりいないのではないか。写真しか見たことがないが、伴野の家からは確実に精神性が感じられる。

 

ぼくは、この精神性を町に持ち込むためにこの営みに参加したいと思っている。そのためにはある程度のお金を生む仕組みが必要となるだろう。

 

そのためには、町からSOTOCHIKU材料を都会へ持ち込むことから始めるのはどうか。鋸南町であれば、房州石の塀や壁を都内の空間の内装に用いる。また、海風を受けた錆びた金属を都会へ持ち込むのもよい。

 

そして、都内の改装時に出る解体材料(例えば、オブジェ的なもの)を鋸南町へ持ち込み、都会と鋸南町、双方の空間の交換を進めることにより、「文化」の交換を進めていく。

 

きっと、これはお互いの良さを自覚し、強化していく交換になっていく予感がある。

 

こんな交換をつくることが、都会と地方の関係を象徴する一つとなって、さまざまな地方へネットワークが広がっていく流れをつくることができないだろうか?