gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

GF3 「つくられたもの」ではなく、「なったもの」の外部性を取り込む

スクラップヤードも含めて、「とりかえのきかないもの」と向き合える空間や建築は、巷に忘れ去られたように点在する。風雨や太陽に晒されて風化した壁、車輪や人がいつも踏みつけることによって傷ついた床板、・・・それらは、空間や建築に「時間」という自然が作用した結果として在る。だから、それらは「つくられたもの」ではなく、「なったもの」である。

 

これらの「なったもの」から美しさを感じ取るとき、その美しさを「汚しうる美」(さらに汚れても質が変わることのない美しさ)として、それを感受することができる建築をつくりたい、という思いを論文のタイトルとしたのだ。

 

「なったもの」は「棄てられること」や「忘れ去られること」によって、人間の思惑の「外部」に出る。外部にあるはずのものに、内部空間で遭遇するとき、思わず凝視してしまうような③の視点が生まれる。それは、この「とりかえのきくもの」に囲まれた世界で「とりかえのきかないもの」に1対1の関係で出会う「自由になれる」瞬間である。なにものにも束縛されない中でしか、1対1の関係は成立しない。「自由になれる」ためには、この関係を成立させることだ、と思い当たった。

 

「外部性を内部空間に取り込んで自由になれる空間をつくる」・・・これが当社の根源的なコンセプトである。