ぼくが20歳のときにアフリカ行きの飛行機で出会った杉山さん。そのとき、杉山さんは40歳だったが、すでにムゼー(スワヒリ語で、おじいちゃん)と呼ばれていた。
ぼくが、そのときの杉山さんの年を追い越してから久しいが、ムゼーはムゼーのままで印象は全く変わらないままだ。
数年前からペンシル画をときどき見せていただいているが、お会いするたびにディテールが細かくなり、表現が複雑さを増していくのを、驚きの目で見ている。
葛飾北斎が80歳を過ぎてから、より精緻な描写をするようになった、と友人が言っていた。どんどん老眼が進んでいったはずなのに、なぜそんなことができたのか、と。
杉山さんにも同じことが言える。写真は一見、スケッチを色調反転コピーをしたネガを対角線に並べたように見えるが、そうではない。ネガと見えるものも、杉山さんがすべて一から描いたものである。
そのとき、ネガと見えるものは、実はポジだ、ということになる。
コピーなら5秒で終わってしまうものを、杉山さんは何週間もかけて、老眼の目でひたすら描くのだ。
日時:1月18日(金)・19日(土)・25日(金)・26日(土)
13:00〜19:30
場所:Galerie Or・Terre(ギャラリー オル・テール)
〒104-0031 中央区京橋1-6-10 春本ビルB1
TEL.050-1143-6688