2011年。佐々部清監督。
「がんばれ」と声をかけることができない人と、いったいどのように接すればよいのか?この映画を観た後、しばらく考え込んだ。
「がんばらなくてもいいよ」
いつも「がんばれ」と励まされて育ち、生きてきた、どちらかと言えば体育会系の私には、馴染みにくい言葉だ。
うつになったツレと売れない漫画家のハルの夫婦が、責め合うこともなく美しく生きていることが、一般解として成り立つとは思えないが、それでも成り立つと信じたい気持ちにさせる優れた映画だ。
ハルが「私、がんばらないことに決めたんです」ということが、「好きなことをやる」=「がんばらない」という意味であれば、私を含めてたくさんの人にもできるかもしれない。グリッドフレームのスタッフたちに「がんばらなくてもいいよ」と言ってやれる。
うつになることが怖くない世の中になれば、逆に、うつになる人は激減するのだろう。