gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 パラノイド・パーク

2007年。ガス・ヴァン・サント監督。

青い吊橋の風景のショットで始まる。美しい、けれど、少なくとも私にはどこなのか特定できない風景。アメリカの郊外の町が舞台だ。

地震のない国の吊橋はスレンダーで美しい。逆に言えば、日本から見れば、橋脚などが華奢に見える。私の眼には、その橋が美しいけれど、すこし頼りなげに見えてかすかな不安を呼び起こす。

そんな、どこでもない町であることが重要だろう。この映画には固有名が似合わない。どこにでもいるような高校生が、スケボー好きの少年たちが勝手につくった練習場「パラノイド・パーク」に行く。少年たちは、家庭の事情を抱えた者ばかりで、両親が離婚の調停中である彼は、それをとても心地よく感じたりする。ある夜、その仲間から危険な遊びを教えられているとき、ふとしたことで警備員を振り払った行為により、運悪く警備員が死んでしまう。

人を殺してしまった。こんなにも簡単に。

そんなことは起こるはずがなかったことだった。これまで一度も脳裏をよぎったことのないことだった。

刑事が現れたが、まだ逮捕はされていない。彼は、起こったことを整理できないでいるが、罪悪感があるわけでもない。彼が、精力的に努力をするのは、単に起こったことを整理することだ。

彼は、友達の勧めに従い、起こったことを手紙にする。何十枚もの手紙を書いた後、彼は海辺でそれを焼く。

このシーンで映画は終わる。

そうして、彼の中で一つの事件が終わっていくのだろうか。

先日、オウム事件で指名手配された女性が捕まった。女子会で笑う彼女の顔がふと浮かんだ。

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