gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

モノローグ 2

昨日、書くことは道を決めていない散歩に似ている、と書いた。

散歩は、最後には家に帰ってくる。書くことも最後は自分という家に帰ってくる。

書いているときは、ずんずん進んでいくが、実は家の周囲からそんなには離れていなかったりする。

家へ帰れなくなるときは、きっと頭が狂ってしまったときだ。時折、家へ帰れなくなった詩人を見かける。

私はとてもそこまでは行けない。どんなに遠くへ行ったつもりになっていても、ちゃんと帰ってくる。

安全圏にいることを、いつもどこかで分かっている。



そうそう、以前、ヨーロッパを旅したとき、地図を全く持たないで、オランダ・アムステルダムからドイツへ向かって歩き始めた。空から俯瞰するような視点を排除したかったのだ。地球儀の上で、迷子になりたい、と思ったのだ。

だが、迷子にはなれなかった。いつも、自分は地球儀のどこにいるのか、を確認したいという欲求から解放されることはなかった。迷子になりたいと思うほど、意志に反して、空からのイメージが頭に焼きついてしまう。



校庭の栗の木の下の草むらの中、リスたちが落ちた栗の実を探して走り回る。

私はそれを高い視点から見ている。栗の実がどこにあるかは私の目からは一目瞭然だ。

リスたちは、ただ走り続ける。身の丈よりも高い草に視界を遮られて。栗の実に出会うまで、ただひたすら・・・。

そう、私はリスのように走り続けることに憧れている。

そんなふうに書き続けたい。

そんなふうにつくり続けたい。

(つづく)

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