gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

発展途上国

1985年はプラザ合意の年で、ここから円高はどんどん進んでいった。その頃、大学生だった私は、休みに入ると決まって海外へ旅立った。

そのころの私は、土木技術者になって、発展途上国でダムや橋をつくることを夢見ていたから、きっかけは、そのような国で暮らすことができるか、の事前調査のつもりだった。

だが、最初に訪れたアフリカで、そのような心配は吹き飛んだ。アフリカに降り立った私は、生まれ変わったかのように積極的な人間になっていた。私は、自分の中に、そのような自分がいることをそれまで知らなかった。

発展途上国は、不便なことの集積でできているようなところである。だが、そのような場所で、いろんな困ったことに遭遇するたびに、追い詰められて、自分で考えて答えを捻り出す毎日が、逆説的に、楽しくてたまらなかったのだ。

ゆるいシステムしか存在しない場所にいることは、少なくとも私を生かした。

グリッドフレームという会社は、発展途上国に似ているかもしれない。そこでは、ゆるいシステムの中で、それぞれのスタッフが自分の考えで動いている。

だが、発展途上国がやがては先進国になるとは思っていないし、そうなりたいとも思わない。

私たちは、先進国のもっと先にあるものを見つめている。