gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

世界に生まれ来る子供たち その3

飢餓と人口爆発が同時に起こっている国は、アフリカ南部に集中しているようである。それらの国の中のどこで、また、どのような状況でそれは起こっているのだろう。

これを想像しがたくしているのは、飢餓問題をアピールするために使われる写真が、難民キャンプで撮られた子供の写真だからではないか、と思う。子供たちがどんどん死んでいくイメージと、人口がどんどん増えていくというイメージがリンクしない。

私が行ったことのある国では、ケニアタンザニアが飢餓と人口爆発が同時に起こっている国に属している。そこで見たことをもとに想像してみると、飢餓と人口爆発が同時に起こっている代表的な場所は、都市部におけるスラム街ではないか、と思える。とはいえ、旅行者が簡単に近づける場所ではないので、横目で通り過ぎる程度にしか、そこを見ていない。

遠くから見ると、無数のトタン板が地面に張り付いたように見える場所だった。そのくらい低い位置に屋根がある。身の周りで手に入るものだけでつくられた家。日本の常識的な人はそれを家とは呼ばないだろう、というところに住んでいる大勢の人たち。

しかし、そこに人間の生きている証としてのエネルギーが満ちている。戦後間もない日本の都会もこうであったろう。それに、日本も経済成長が著しいときは、人口がどんどん増えていた。

グリッドフレームの「汚しうる美」のイメージもスラム街のエネルギーと無関係ではない。私はそのような場所に漂うエネルギーにポジティブなものを見い出した。

私が出会った人たちのエネルギーが、ポジティブなものを感じさせたからだろう。一般にはネガティブな場所と扱われているのだから。

世界各国でスラム街を一掃しようという動きがある。それが、シンプルにいいことだとは、私には思えない。

心を静めて、その場所のエネルギーを感じ取る感性をもとに、さまざまな決定が下されていくべきだと思う。

(つづく)