1950年。メキシコ。
メキシコの貧困の中で、正しく生きようとしながらも、生きることを許されない少年。
スラム街の少年たちの荒んだ心。祈り。不確かな友情。
ネガティブ。ポジティブ。その中間。
スラム街にさえ、スラム街ゆえの美しいものがある。
だれも、望んでそこにいたいと思わなくとも、そこから逃れたいと思ったとしても、そんな場所だから浮き彫りになる美しさがある。
それは、単にそれを否定して成し遂げられた豊かな社会には、失われている。
自由意志などどこにもなく、「自由であれ」という自分への命令のみがあるのなら、そして、そう自分に命じているときに人は倫理的であるのなら、いつも倫理的な人間でいられる社会を、ぼくらは目指さねばならない。
ぼくは、スラム街と裕福な街の両方を心が行き来できる空間をつくりたい。
表と裏に、境界を設け、心はやがてそれを消し去る。
ぼくがフレーミングと呼ぶのは、そういうものだ。