25年前、私がタイを旅行中に小さな村へ貯水池をつくる学生ボランティアにたまたま参加したとき、村の人たちに避妊の仕方を伝える、というプログラムも含まれていた。
集まった村人の前で学生がコンドームを親指につけて使い方を説明していた。一連の説明を聞き終わって、村の若者が質問した。
「それを親指につければ、妊娠しないのか?」
みんなで笑ったのを憶えている。
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おそらくこの話を単純に人口爆発の話と結びつけるのは間違っている。まず、その村がどのような産業で生活を支えているのか、を見なければならない。
もし、自給自足の村であれば、人口は増えないはずである。経済格差によって成立するビジネスが発明されて以来、世界の人口は爆発的に増え始めたという。
先進国へ資源や作物を輸出することになり、貨幣が入ってくると、一時的に食料の供給が増え、人口が増加する。増えた人間たちの生活を支えるためにもっと人間を増やさねばならない、という循環と言われている。
そのシステムの中にこの村も組み込まれているとしたら、個人の家族計画ではどうしようもない構造の中にいることになる。
http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/population_explosion.html
私がタイで過ごした村は、農業と機織で生計を立てていた。バンコクなどの都市へ出稼ぎに出る若者もいただろう。おそらく、上記のシステムに組み込まれつつある段階ではなかっただろうか。
(つづく)