STUDIO COOCAの関根さんと出会ってから、もう22年が過ぎた。
関根さんは障害福祉施設の代表だ。利用者たちは絵を描くなどして、それぞれが自由に過ごしている。
ここから生まれる、すばらしい作品も多く見てきた。見る者の想像力を掻き立てて、そこから無限の可能性を秘めたストーリーが生まれる。
作品もそうだが、利用者自身も想像力を掻き立てるアートそのものかもしれない。
暴力沙汰などにならない限り、利用者は自由に過ごす。
みんな心地よく過ごしているように見える。
そのベースになるのは障碍者に対して国から出るベーシックインカム的なお金だ。
コロナ後の世界を見ようとするとき、社会はSTUDIO COOCAの世界の存在を無視することはできないと感じている。
コロナ前から言われているのは、今後AIによって人間が生きるために必要なものすべてが計画的に生産できるようになるなら、働く必要のある人数は、世界中でほんの一握りになるんじゃないか、という予想だ。
ならば、人類のほとんどは、ベーシックインカムを受給して、あまりお金はないけれど生産せずに過ごす日々がやってくる、と。
コロナ後、都市人口は減っていくのかどうかわからないけれど、爆発的な人口増加問題を解決する方法を考えることができれば、さしあたって、生産しない人口が増えてもよいのではないか。
生産しない時間を介護に回すことができるだろう。家族では人数が足りなくても、社会全体で介護していくことを当たり前とする。
全ての生物が「守る」ことを経験するために生まれてきた、というぼくの考えからすれば、人類はその目標へ近づいているのかもしれない。