gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

土を残す

この10年余りで下北沢は大きく変わった。入り組んだ路地に小さな個人店がひしめく町に大きな資本が入って、その中心が快適・簡単・便利な街につくり変えられてきた。

町の中心にあった昭和の匂いが一掃されていく中で、「土」を見かけることがなくなっていく。工事が終わった頃には、ぼくらはもうそれを見ることはなくなってしまうに違いない。

土は、生命の根源であり、生命が還っていく場所である。誰もが自分でカタチを変えていける、手つかずの大地を思い起こさせてくれるものでもある。それが覆い隠されようとしている。

この街の中心にまだ残る昭和生まれの小さなビル。その古い外観をそのままにして、ここに、土を残そう。そして、その土から生える木のような土のオブジェをカミノキと呼ぼう。

そうすれば、町の中心に過去の時間を伝えるとともに、土を残すことができる。

小さなものが集まって、大きなものをつくる。この町のよさがこれからもずっと続きますように。