陽向が何かを初めてできたとき、家族で大喜びをするが、ほとんどの場合、その後すぐに2回目の成功を見ることはない。
ならば、たまたまできただけなのか、といえば、そういうわけではない。
初めてやるときには、「こうしよう」という既成概念から来る具体的な意図がない。だが、2回目以降は具体的な意図が働く。そうすると、陽向は途端に手が止まってしまう。
陽向は今のところ、予定調和に対応不可能な人なのだ。
試行錯誤でやり直す場合も、1回目がいちばんよかった、ということはとても多い。
the first takeという音楽番組が受けるのは、編集なしの価値ということもあるが、1回目は2回目以降とは決定的に違う心の状態があるからだろう。