こちらは植えただけでほとんど何もしていないのに、野菜の実がなってくれるうれしさ。
土と雨と太陽のおかげだ。ミツバチや蝶も受粉を手伝ってくれたに違いない。それから、土の表面や中にいる節足動物、微生物。周囲の雑草たちも、スイカやメロンの下に敷かせてもらっている。
自然に助けられていることを実感しながら生きる。ずっとそんな生き方に憧れてきた。
地上のことばかり意識して生きてきたが、地中にもっと親しくなりたい。地中は、生き物たちの墓場でもある。ぼくらの知らないところで、姿を消して、いつしか土に還っていく。
そこから生まれてくる命は、たくさんの死を肥やしにして目の前にある。