gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

光源

上総牛久という千葉県の真ん中に位置する小さな町に、千田泰広さんの作品が展示されたのを見てきた。

 

今や世界的に活躍する光のアーティストである。そのクオリティの高さは、群を抜いている。見る者に対し、確実にインパクトのある経験を約束する。7月末まで週末見ることができるから、ぜひご覧になってほしい。

 

元々は、太陽であったり、国道を走る車のライトであったり、光源を自分で準備することは少なかった。その方法では場所や時間、天候を限定するし、見る者に確実性を約束することができない。

 

彼が人工光源を躊躇なく使用し始めたのは2016年くらいからだろうか?確実性を得たその後は瞬く間に、海外のアート祭に引っ張りだこになった。

 

展示ごとに新しい要素を加えていく「よりよくしたい」という想いの強さは、ずっと変わらない。ひとりで「創造性の連鎖」を実行しているようにも見える。

 

だから、これだけたくさんの作品を世界でつくってきた後は、もうクオリティの高さは約束されている。上総牛久という訪れる人の少ない小さな町に、この作品が存在する意味は大きいだろう。

 

それと同時に、場所との関連性が作品になくなっていることの寂しさは否めない。上総牛久においても、周囲と隔絶した空間としてそこにある。

 

今後も周囲は彼の作品に確実性を求めるだろう。・・・だが、天に祈るような、今ここにあることへの感謝の念を、彼の作品から得てきた人間からすると、光源を準備しない部分を求める気持ちを消すことができない。