gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 2/デュオ

1996年。諏訪敦彦監督。柳愛里。西島秀俊

 

同棲する二人の生活を追う。

 

女を演じた柳愛里は複数の映画で主演をつとめながらwikipediaにも出てこない。やや調べていくと柳美里の妹であることが分かったが、どのような人なのかはさっぱりわからない。世の中への露出が多くてもネット情報が出回らない人がいることがとても不思議で新鮮だ。この映画でのこの人の演技はとても優れていたと思うが、またこのように行方を追えない人であることも、この映画の一部のように感じてならない。

 

2人の内面を追う息苦しさに、風を吹き込んでくれるものがある。それは、空間的にも時間的にも外部性だ。今の回路から外へ出ること。二人の部屋から外へ出ること。外へ出れば、ぼくらは電車に乗って、どこまでも逃げることができる。永遠に遠くへ離れることも含めて、ぼくらには可能性がある。本人たちも必然的に外へ出る。生きるためには、それ以外に方法はない。

 

俳優たちは状況を与えられて、シナリオなしで演じていたらしい。個々が全体を捉えて考える、という創造性の連鎖との類似をそこに見る。