gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

洞窟

トルコのカッパドキアで日本人が襲われたというニュースをネットで見た。



カッパドキアの奇岩はキリスト教徒がイスラム教徒から身を隠す場所として、たくさんの穴が掘られて住処とされたという歴史があると、20年ほど前に訪ねたときに聞いた。

だれも好き好んで穴の中に暮らしたわけではないのだ。だが、現在の住環境から見ると、あまりにもかけ離れているがゆえに、逆に何とも魅力的な場所に見える。

20年前、ぼくもしばらく穴の中で暮らしてみたいと思った。これ以上に土地と一体化する自分を体験できる住環境はないだろう。

女子大生もそんな環境に憧れてカッパドキアへ行ったのだろうか。さぞ怖い思いをしただろう。亡くなった方のご冥福を祈る。



トルコは世界一の親日国だ、などと報道されているが、個人の旅にそんなことは関係ない。個人がある瞬間にとる行動を、国というレベルで予想することは決してできない。

この国は安全だとか、危険だとか、そんな前情報にあまり意味はないし、だれもその情報に責任はとれない。行くか、行かないかの決断は、別の次元でなされるべきだし、何があったとしても自己責任であるのが、旅の原則だ。



洞窟の壁に掘られた明かり取りの小さな窓を思い出す。逃げ込んだキリスト教徒たちの太陽の光への渇望がぼくの胸に突き刺さった。あの光を彼女は見ることができただろうか。



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