カラオケがなかった頃、人前で歌うということは一大事だった。
まず真剣に歌う、ということ自体が滑稽に思えた。なんだか、人前で裸を晒すのにも似た感覚があった。だから、当時のテレビのオーディション番組などに出てくる素人を見て、まず思ったのは、こいつは度胸があるなあ、ということだった。
カラオケのおかげで、人前で歌うことが普通になった。
面白いのは、歌うという行為によって、それぞれの人の内面が露出されることだ。選曲、歌い方、表情・・・。
カラオケに行くと話ができないからいやだ、という人もいるが、カラオケはひとつの強力なコミュニケーションツールだと思う。