gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2012.12

2012年

2012年が終わる。今年も、よい空間をつくる、という基本的な目的は、レベルを向上させて達成することができたように思う。結果として、カスタマーの心を掴み、店のオーナーやスタッフの方々のモーチベーションを引き上げて、息の長い店として地域に貢献…

帽子

付属的に身に着ける一切のものを嫌ってきた陽向が、帽子を初めておとなしくかぶった。ただし、その前に鏡の前を通って、それとなく姿をチェックしてからだった。少しずつ自意識が芽生えていく様子をうれしく観察している。 ← グリッドフレームのHPはこちらで…

砂漠と森

かつてぼくは世界を砂漠のように見ていたのだと思う。現在がきついとき、世界は枯渇しているように思うと、ただ息苦しくなってくる。そのとき、未来は閉ざされて見える。まるで世界には現在しか存在しないかのように。だが、実際は世界は決して枯渇などして…

カラオケ

カラオケがなかった頃、人前で歌うということは一大事だった。まず真剣に歌う、ということ自体が滑稽に思えた。なんだか、人前で裸を晒すのにも似た感覚があった。だから、当時のテレビのオーディション番組などに出てくる素人を見て、まず思ったのは、こい…

設計室

自意識過剰といわれるかもしれないが、20代くらいまでは、自分のがんばっている姿を人に見てほしいという気持ちは強かったと思う。だから、例えば受験勉強は、自分の部屋でするより、図書館でやる方が気合が入った。だれも自分のことなど気にしていないこ…

本棚

写真集に載っているような本棚は、本は少しだけでスカスカとしているため、本棚自身が目立っていて、スタイリッシュである。しかし、そんな生活感のない部屋なんてショールームくらいで、実際には、もう置けないくらいたくさんの本が置かれて、本棚の存在感…

椅子

新しいオフィスへの移転のため、自分の椅子を探している。働くことと椅子の関係は深い。どのような椅子がもっとも働きやすいのだろうか。長時間座っているから、楽な椅子を選ぶ、という人がいる。しかし、ぼくは楽すぎると眠くなってしまう。だから、楽な椅…

ケーキ

ケーキにまだバタークリームがのっかっていた頃、生クリームがのっかっているケーキを食べて、感動した。ぼくが小学生の頃だ。ケーキとはやわらかいものだ、と思った。小さい頃から、ケーキはずっと好きだ。けれど、ケーキで感動したのは、たぶんそのとき1…

移転

今年いっぱいで、表参道に移転することになった。現在のビルが売却されることが決まったからだ。現在の場所で13年間を過ごした。現在では6〜7人が働いているが、初期の頃は1人で働いていた時期もある。徹夜も数えられないくらいして、家にいるよりもは…

雑踏の中で

映画「ディア・ドクター」の中で、にせ医者に薬を売っていた薬屋に刑事が尋問する場面がある。刑事はにせ医者が本気で患者を治そうとしていたか、に疑念を抱いている。突然、薬屋が椅子から後ろ側へ倒れるのを、となりにいた刑事が慌てて手を伸ばして薬屋の体…

一喜一憂

日々の戦に一喜一憂してはならない、と太平記の中で出てきたなあ。昨日いいことがあったかと思うと、今日は残念なことがあったり・・・、空間づくりの仕事をやっていると日常的な振幅は決して小さくはない。一喜一憂しないように、いつも「いいことだけ思い出せ…

心拍数

ジョギングをしながら、心拍数を測るようになった。呼吸法や丹田など、どこに意識を集中すると、自分の心拍数がどのように変わるのか、実験中。正しい知識を身につけたいと思うが、こと健康に関する情報については、ネットの検索ではブレが大きいので、簡単…

アフリカ

1985年のアフリカ。写真はケニアのマサイマラ国立公園。どうやら、この一本のアカシアは、ほぼこのままのかたちで今も存在しているようで、いろんな人の写真に出てくる。当時、アフリカの飢餓がよく日本の新聞に載っていた。その状況は、どうやら現在も変わ…

1.25倍

「われわれのリアリズムは倍率1倍と称する倍率1.25倍である。」(森敦『意味の変容』p.39)「意味の変容」は、数学に論拠を置いて語られているにもかかわらず、上のような厳密さを覆すような記述がところどころに見られる。例えば、上の25%を、著者は「幻術…

総選挙

総選挙とは、与党へのダメ出しの場でしかない、という印象は免れない。大勝すれば、次は大敗。政権交代があって当初は期待したとしても、それはすぐに失望に変わる。それこそ負の連鎖だ。自民党幹部のニコニコした顔がネットに氾濫しているが、次の総選挙で…

映画 パルプ・フィクション

1994年。クエンティン・タランティーノ監督。公開中にアメリカの映画館で観たときは、早口のセリフとfuck連発のスラングの嵐のせいでほとんど聞き取れなかったが、不思議と内容は全部理解できた気がする。タイトルには「くだらない話」という意味がある…

北風と太陽

ゆとり教育といえば、思い出すのがイソップの「北風と太陽」である。旅人のコートを脱がすのに成功したのは、吹き飛ばそうとする北風ではなく、ポカポカと照らす太陽だった、という話。強制的にやるのが北風で、自分の意志を尊重するのが太陽ならば、自分の意…

森の声

マンションの裏には森がある。ふつう、人は林と呼ぶに違いないが、森と呼びたい。木が3本以上あれば、森でよいではないか。そこに大きな樫の木があって、朝はたくさんの鳥が集まる。東京の真ん中にいることを忘れて、耳を澄ます。 熊本の真夏の夜は蝉嵐高校…

bar clutch time

新宿のバー、clutch time。桟橋が砂浜から海に向かって伸びている。先端は霧がかって見えない。そんな現実感がゆらぐような店内の空間をここにつくりたくなった。それは、この店のオーナーから漂う空気感そのものなのだ。それとバスケットボール。オーナーが…

東京タワー

東京タワーが鉄の素地の色であったら、さぞ美しいだろう、と私は思う。wikipediaに載っている下のモノクロ写真などをみれば、たくさんの人が賛成してくれるだろう。赤と白の塗装によって全体の美しさを損ねている、と思う。だが、だからこそ、現在の親しみや…

Bar ROYS 五反田

光のボックスには、このあと植物が入れられる。逆光で透けた葉を見せることがこのボックスの狙いだ。が、このままでもなかなかよい。後日、もう一度写真を撮りに来る。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

0と1の間

小さい頃、数といえば1,2,3,・・・だったのが、大人になってからは0と1の間の数を用いることが多くなった。つまり、数を割合について用いることが多いのだ。そこでやっかいなのは、割り算である。割り算といえば、「りんご6個を3人で平等に分けると、…

映画 タクシー・ドライバー

1976年。アメリカ。マーティン・スコセッシ監督。"Anytime, anywhere" 眠れないトラヴィスはとりあえずタクシードライバーを始める。しかし、どんなに働いても不眠症は改善しない。それは、自分の存在を感じられないからだ。「自分」は、どこへ行くのか…

15年前まで勤めていた建設会社の飲み会に呼んでいただいた。この会社には留学費用など多額の投資をしていただいたにも関わらず、やむを得ない状況とはいえ、なにも貢献できないままに退職することになり、気まずい思いを抱えつつ、疎遠になってしまってい…

ピタゴラスイッチ

毎日の行き帰りに外苑東通りを通る。その通りに面するビルの前に、あるアーティストの作品が設置してある。ピタゴラスイッチというNHKの番組があるが、ボールが重力にしたがって転がり落ちてくるまでに、いろんな仕掛けをつくって目を愉しませてくれるの…

葛西臨海水族園

葛西臨海水族園は、大人の水族館である。子供のほうを向いていない。子供に大人の視線についてくることを求めるような水族館だ。あからさまに子供向けにつくられた施設より、この方がよいと思う。子供にも空間の美しさを感じてほしい。 ← グリッドフレームの…

がっかりすること

ラーメン屋に入った瞬間、がっかりした。スタッフの若い兄ちゃんたちが、ここのラーメンが最高だ、と思っていないことを感じ取ったからである。応対が悪かったわけではない。ただ、仕事だからやっているのが分かってしまったのだ。飲食店に限らず、そこで提…

闇の向こう

大江戸線大門駅から新宿方面を向いてホームの先端から線路を覗きこむ。まるで線路は、地中深くへどこまでも潜っていくかのようだ。見えない闇の向こう側が想像されて、一瞬身震いする。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

ありうること

「絶対にあること」「普通はあること」そして、「普通はまずないが、ありうること」。未来を見るとき、ふつう人は、前の二つについて検討する。しかし、転じて、過去を見るとき、「普通はまずないが、ありうること」の集積によって、自分の現在はつくられた…

町の灯り

法事を終え、ほっと一息ついた。母はもっとほっとしているだろう。日が暮れる頃になってちょっと落ち着いたら、ついさっき大勢で訪ねたばかりにもかかわらず、改めてひとりで父の墓へ行きたくなった。以前もそうしたように、3キロの道程を走って丘の上の墓…