gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

コップの水があふれ始めた

1か月前に陽向は、「塾の自習室で声を出したり音を出したりして他の子に迷惑をかける」として塾の自習室の使用禁止を告げられた。

 

親としては、いつものことで、勉強という本分の問題ではなく、想定外のところで勉強の環境が壊れていく。以前、柔道をやっていたときも、同様に柔道は好きだったが、通いの地下鉄に夢中になったりしたことでやめさせることになった。

 

問題が起きるたびにとくとくと言い聞かせてきたが、「ごめんなさい」の次の日には元に戻っていた。

 

2年前に、小学校担任の先生が「彼のコップの水がいっぱいになったら、彼は変わると思うので、言い続けます」と言われていた。

 

ようやくその瞬間が来たのかもしれない。今日の彼は、一日中静かに音を立てずに計画通りのスケジュールをこなすことができた。これで塾の自習室に戻れる。

 

いや、親たちが言い聞かせ続けたからではないだろう。彼が、思春期に入ったからに過ぎないかもしれない。

 

いずれにせよ、外から自分を見る目ができあがってきた。コップの水があふれ始めたわけだ。

 

さあ、これからだ。ようやく人間になったのだから。外からかかっている力が見えるようになった陽向が、内からの力でそれにどのように対応していくのか?

 

もちろん言われたことをそのままやればよいというわけではないのだから。

 

ぼくは外からの力を気にしすぎる少年期を過ごしたと思う。現在の大半の日本人がそうであるように。

 

内からの力は、外からの力を感受する力に比例して、大きくなっていくものだ。

 

その内からの力を、社会に対してどのように発揮していくか?

 

そういう段階の人生が、陽向の中で始まった。