世の中に溢れている商品ひとつひとつがどのようにつくられたのだろうと想像してみる。
過去は人の手によってつくられていたものが、人の手から機械に取って代り、そのために、精度の高い、均質なものが、大量に、そして安価につくられるようになった。
ベンヤミンは、それによって、アウラ(物体から発する微妙な雰囲気)が失われたというが、おそらくそれよりも確かなことは、手づくりのときには、熟練したつくり手は、遊ぶように仕事をするのに対して、オートメーション化されるとそれが単なる「労働」に変わってしまうということである。
手づくりといっても、いわゆる手工芸という意味ではない。つくり手がかけがえのない個人として関わる工程があるもの、という意味であり、その範囲は広い。
つくられたものを見て、それが遊びの産物か、「労働」の産物かを想像してみるとよい。そのときにアウラを見い出す人もいるだろう。
その想像力は、未来の社会をつくるためにきっと有用である。