gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2012.2

うるう年

「十二支の子・辰・申年は、閏年である」ということに、4回目の年男で初めて気づくくらいだから、私は閏年を意識したことがほとんどない。オリンピックイヤーとしても、冬季オリンピックの開催年が2年ずらされてからは、あまりピンと来なくなった。wikiped…

遊ぶようにつくる

世の中に溢れている商品ひとつひとつがどのようにつくられたのだろうと想像してみる。過去は人の手によってつくられていたものが、人の手から機械に取って代り、そのために、精度の高い、均質なものが、大量に、そして安価につくられるようになった。ベンヤ…

海から吹く風

陽向は明日で2歳になる。妻は、陽向は海から来た、という。私にも、なんとなくそんな感じがするときがある。 ← グリッドフレームのHPはこちらです

奮い立たせるもの

遠藤周作の「イエスの生涯」を読んだのは遠い昔で内容はほとんど憶えていない。だが、その主題は「あれほどダメ人間だったイエスの弟子たちが、イエスの死後、どうしてあんなにも過酷な布教活動にいそしむことができたのか?」を考えることだった、というよ…

広がりのある風景 4

A's Hair

コンセプトは「シルエット」。細いラインのロッドを組み上げた脚立状のセット面5体がこの空間のメインの位置を占める。それらのシルエットの美しさを感受するために、周囲の壁は打ち放しのままか、白くシンプルに仕上げた。セット面のそれぞれには車輪がつ…

広がりのある風景 3

そこで、ある目的を設定する。見たままに描くことを突き詰めよう、と。それは、必ずしも写真のように描こうとすることではない。撮られた写真からは実際に見たものとはずいぶん違った印象を受けることが多い。たどり着きたいのは、今、目の前に在るこの風景…

広がりのある風景 2

その頃、私にとって絵を描くことは見たままに描くことだった。そのことが美と本質的につながっているのかどうかはわからない。そもそも美について考えたことなど、一度もなかっただろう。見たままに近づけようとして絵を描く。だが、見たままにはならない。…

広がりのある風景

中学生の頃、美術の授業の中で「広がりのある風景」という課題で絵を描かされた。私は、校舎の最上階から見える風景を、見たままに描いた。俯瞰して描くことが「広がりのある風景」と考えたからだ。Y君は違う考えで描いた。地面に立って、横に広がる田んぼ…

つくりながら考える

アメリカの大学院で建築を学んでいるときには、必ず模型をつくって設計した。模型といっても、机に置けるような小さいものではない。数メートルもある大きなものだ。できれば実物をつくりたいと常々思っていたから、必然的にそうなった。教室ではつくれなか…

くつろぐ

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ラファエロの天使

家具の販売サイトを検索していたら、ルネッサンスの画家ラファエロの天使のプリントが額装されて販売されているのを見つけた。『システィナの聖母』という宗教画の一部であるが、他の部分は神々しく描かれているにもかかわらず、この2人の天使だけはまるで…

映画 127時間

ユタ州でクライミングを愉しむアーロンは、大地の割れ目で、落下してきた岩に右手を挟まれて、身動きできなくなってしまう。それからの127時間が描かれた映画ではあるが、そこに至るまでの10数時間のエネルギッシュな彼があまりにも輝いているために、…

老夫婦の洋食屋

19時過ぎに東京の下町で仕事を終えて、小雪の降る中、食事をしようと店を探した。そして、なんとなく、古びた佇まいの洋食屋に入った。20席くらいあったが、客は一人もいなかった。背筋のピシッと伸びたおばあさんが出てきて、気高く「お好きな席へどう…

スカイツリーからの落下物

『スカイツリーから雪の塊 住宅・倉庫の屋根、車が破損』という記事が載った。建設中から問題が起きて、いろんな防止措置がとられていたようだが、やはり起きてしまった。スカイツリーから100〜200m離れた場所に落ちたそうだから、かなり広い範囲で危…

アントニ・タピエスの死

2012年2月6日、スペイン・バルセロナの芸術家アントニ・タピエスは亡くなった。日本では2月11日に亡くなったホイットニー・ヒューストンがトップで報道される中、同じ日にひっそりと片隅に記事が掲載された。それは、ジョン・レノンが亡くなったと…

丹頂鶴

鳥の観察小屋を北方の湖の上につくる、という設計プロジェクト。この小屋に至るためのボートで、小屋の周りを一周しながら小屋の方を見ると、丹頂鶴が羽ばたく姿になっている、というもの。20年前のプロジェクトだが、空へ向かって丹頂鶴が羽ばたく姿をイ…

緯度の低い地方の人々

学生時代以来、緯度の低い地方を旅することが多かった。今、改めて地域の気候を思い出すと、熱帯雨林か、砂漠か、という両極端な地域を旅したことになる。熱帯雨林は自然の恵みが豊かであるがゆえに、人々はあまり移動を必要としない。文明を受け入れない未…

海と空

海辺は、海と空へ向かって空間が開かれているために、いつも空気の流れが見える。いつも心地よいわけではないが、こんな天気の良い冬の日の夕方は、時間を止めたいと思うほどだ。最近、眠りの浅い私は、深い眠りをもたらす空間を切望している。このような場…

サラエボの花

ボスニア紛争の終結から12年経過したサラエボ。母と娘の2人家族を描いている。母はセルビア兵による民族浄化と称する集団レイプを数カ月も受け続けた結果、妊娠した子供を堕胎できずに、紛争終結とともに娘が生まれてきた。母は生まれてきた娘を拒絶しよ…

気を遣うこと

他人に気を遣うと、そのために逆に気を遣われてしまう。自分のことを反省しているのだが、多分誰にでも当てはまることだろう。思いやりと気を遣うこととの区別は微妙で、ときに分けることが難しいが、前者はものごとを円滑に進め、後者はものごとの進みを遅…

Made in Tokyo

現在、グリッドフレームはプロダクトの開発・販売準備を進めている。カウンターチェアに続く商品を開発中である。http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20120131 ↑カウンターチェアはこちら工場が海外へ移転することによる国内生産力の低下が懸念される中、現…

寒空

この季節は知らず知らず視線が空を向く。冷たく乾いた空気のせいだろうか。地上に色が少ないからだろうか。空は存在感を増している。手を伸ばして、大の字になっても、何も触れない。自由の感覚とは、そのようなものだ。空がなければ、真にその感覚は得られ…

亜周辺

柄谷行人「世界共和国へ」の中に、4大文明のエジプト、メソポタミア、インダス河流域、黄河流域に生まれた帝国の周辺ではなく、その外側にある「亜周辺」に古典古代的社会(ギリシア・ローマ)や封建的社会(西ヨーロッパ・日本)が生まれたという見方が書…

NOからYESへ

陽向は今月末に2歳になる。「これ食べる?」と彼の目の前に差し出して訊く。彼はうなづく前に、首を横に振ることを覚えた。1年以上前から、首を横に振って、様々なものを拒否してきたが、決してうなづいて受け入れることはなかった。最近になってようやく…

映画 父、帰る

2003年、ロシア。母親と祖母と一緒に暮らしていた思春期の兄弟2人のもとに、写真でしか顔を知らない父が12年ぶりに帰ってきて、2人と旅に出かけ、無人島で数日を過ごす。バックに流れる音楽は、常に不気味で、いつ何が起きるかわからない。息子たち…

本 アルケミスト パウロ・コエーリョ著

アルケミストとは錬金術師のことで、鉛などを金に変える術を身に付けた人。20年くらい前に友人に勧められて読んだが、今回、就職希望者の中に「私はこの本が好きです」と言って、本を置いていった人がいて、久しぶりに読んだ。懐かしい本だ。自分が、宝物…

静かなる格闘

布団の中で、いきなり襲ってくる悪寒と闘う。逃げるか、向き合うか。どちらかしかない。遠い昔、アラスカの氷点下の中で寝ているときに、寝袋以上に防寒の術がなかった。そこで、シャーリー・マクレーンの本の中の、胸に白い玉を想像すると体がポカポカして…

最大の集合を豊かにする

「自分が属する最大の集合を豊かにするために働く」という意識が必要だ、と書いたのはゼネコンの新入社員の頃で、巷ではボーダレスという言葉が流行っていた。つまり、世界をよくしよう、という思いで働こう、ということだ。それから20年以上が過ぎて、頭…