しばらくお会いしていないが、京都で学生だった頃から、10歳くらい年上のお坊さんと親しくしていただいている。
20年近く前になるが、彼に「結婚はしないのですか」と尋ねると、「檀家さんが諸々の相談事でいつなんどき来られても親身になって対応できるように結婚はしない」とおっしゃった。「自分を人恋しい状態にしておかないと、人が訪ねてくることが億劫に感じられることがあるかもしれないから」
お坊さんというのは職業ではないのだ、ということを実感する言葉だった。お坊さんという人生。
いつも準備ができている、ということは、少し足りない状態をつくることなのかもしれない。満ち足りてしまったら、できないことがある。