gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 ブロークバックマウンテン

同性愛が描かれた映画。保守的な人間も多いアメリカで記録的な興行収入を上げたというのは意外だった。

美しい自然を背景として描かれていることが、二人の行為を自然の一部として見せることに成功しているからだろうか。

私自身はこの映画にあまりインパクトを感じなかった。公開された2005年であれば、インパクトを感じたかもしれない。今、世の中は急速に多様性を認めつつあるのかもしれない。

とはいえ、異性愛を表の顔で、同性愛が裏の顔、という図式は当分は変わらないだろう。私がこの映画を観て際立って感じたことは、同性愛者の夫を持った女性の不幸である。

愛を争う相手が異性であることには脱力感があるだろう。突然、夫が遠い異次元の世界へ行ってしまったような、言葉が通じない人になってしまったような、そんな違和感が妻の胸にぽっかりと穴を開けるだろう。

主人公は山を降りたときに、愛の強さに気づいていたのなら、結婚すべきではなかっただろう。だが、そのような愛こそ、どのように否定しても胸の中から消すことができないものであったことを、時が経つごとに自覚していくような類いのものなのかもしれない。

時が経って、自覚すること。そのための時間のずれが、取り返しのつかないかたちとなって現れる。それはもちろん、同性愛に限ったことではない。

グリッドフレームのHPへ ← グリッドフレームのHPはこちらです