gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

パノプティコン

パノプティコンとは、功利主義を唱えた哲学者ベンサムが提案した、建築の世界では有名な、刑務所の構想である。

フーコーが統制された社会システムの比喩として用いたことから、怖い建物のイメージが強い。

看守が中央でブラインドの向こうにいて収容者を監視している。収容者からは看守がどこを見ているかわからない。だから、いつも真面目にふるまう必要がある。

ベンサムはこうして犯罪者に生産的労働習慣を身につけさせられると考えた。

「見る・見られる」の非対称な関係を強制的につくることによって、見られる側の行動を統制しようとする意図を平面図から感じ取るのは不快である。

もし、私が収容者の側であったら、数日で精神的な病に陥るかもしれない。

しかし、人は意図的に「見られる」場所に自分を置くことがある。例えば、私は受験勉強のとき、自身に勉強を強制するために図書館へ出かけた。周囲に人の目があることで、長時間勉強を続けることができた。

もちろん私は、実際には誰も自分を見ていないことを知っている。だが、見られている可能性があることで、自分で自分をコントロールしていたのである。

自分を動かすために、他人の目が必要なときがある。その時間を自分でコントロールできる環境を私は求めている。