gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

アーティストのアトリエ

20世紀の巨匠と呼ばれるアーティストのアトリエを撮った写真集がある。

よく整理された部屋もあるし、多少散らかった印象の部屋もある。この本には出ていないが、画家フランシス・ベーコンの部屋は床に絵具など様々なものが積み重なるくらいに、足の踏み場のない部屋だった。

私は、大江健三郎がある講演で語った「芸術とは、混沌に秩序を与えること」という言葉をアートの定義として使っている。

全てのアートがこれに当てはまるものかどうかは分からないが、アーティストとして空間をつくることを考えるときに、混沌に秩序を与えるという概念抜きでは、何も始まらない。

フランシス・ベーコンのように、混沌とした部屋の中で、秩序=絵が生み出されていく様子は、アートの定義そのものを見ているようだ。

どのような部屋でアートが生み出されるかは、そのアーティストの本質を表しているかもしれない。