gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

父が逝く 6

父が会社の仲間を毎日のように家に連れてきたことがあった。母はあり合わせのもので酒の肴をつくり、客たちは遅くまで飲んで歌った。

私はまだ小学生で、おじちゃんたちの膝の上で、演歌に合わせて手拍子をとらされたことを憶えている。今ふりかえれば楽しい思い出だ。

ちょうどオイルショックの頃で、父はたくさんの部下をやめさせなければならなかったらしい。おじちゃんたちは、会社を去らねばならなかった人たちだと後で知った。

その頃、急に父の髪の毛が薄くなった。つらい毎日だったのだろう。

その頃の父の年はとっくに越えてしまった。

父は守るべき人たちを守ろうと必死だった。私もそうありたいと思うが、その頃の父にはまだまだ追いつくことができない。