わさわさした心では人に向き合えない。
コーヒーをゆっくりと沸かしながら、話をする。
所作のひとつひとつに気をつかって。
ミルは、規則正しいリズムで回す。
挽き方が細かすぎないように。
マッチを擦って、火を点す。
お湯が上がってきたら、かき混ぜて、火を消す。
このときの香りがよい。
コーヒーが下りる時間がちょうどいいように。
カップは小さい方がいい。温かいものを継ぎ足せるから。
22年前に父が焼いたカップたち。
全体にゆっくりとした動作で、丁寧に。
会社を立ち上げた頃にはなにげなくできていたことだ。
22年目。再び、始める。