目的地へ向かうとき、人に道を訊くのがきらいだ。時間さえあるならば、迷っても自分で探す。
正直、迷子になるのは嫌いではない。迷子になりたい、という願望すらあるくらいだ。
本屋へ行っても、できれば探している本は自分で探したい。探し回る時間ほど、楽しい時間はない。
それは、時折、一緒にいる人を困らせる。
バルセロナで、どこかを歩いているときに見かけた日本料理屋へ、みんなを連れて行こうと、アメリカ人を5人連れて炎天下を歩き回ったことがある。30分歩いても、その店は見つからなかった。
それ以来、私がどこかへ案内しようと言っても誰も着いて来なくなった。しかし、面白いものに出会うのは、決まってそんなときなんだぜ。