gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

魁傑

朝青龍の引退で、相撲への興味はさらに薄れてしまった。ものごころついて以来、北の湖千代の富士貴乃花朝青龍と主役が交代したが、ちょうど情報化社会が発展する時期と重なり、かつては天にいた大横綱はいまや地へと堕とされた。

私が少年の頃に憧れた、この真に肉体と肉体のぶつかり合いである競技のチャンピョンたちは、今の少年たちにはどのように映っているのだろう。

私は、魁傑という力士の大ファンだった。おそらく誰もがそうだろうが、大ファンであることに明確な理由はない。身のこなしや表情が好きだったのだろう。後にも先にも、これほど誰かを応援したことはない。

当時、絶対的な強さを誇った北の湖にも何度も勝った。彼が九州場所で12勝3敗同志で北の湖と優勝決定戦を闘い、一気に寄り切って初優勝を決めたとき、私は、土佐中村のフェリー待合室でテレビを観ていた。(柔道の遠征大会で団体優勝した帰りだった。)

勝った瞬間に大声をあげたらしい。テレビを観ていた全員が私を振り返った。私のヒーローが優勝したことは、私の誇りでもあった。なんだか、自分の将来すら輝いて見えるようだった。

情報化社会の中に生きる少年たちは、今も自分のヒーローを心の中で育てているだろうか。