gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

赤ん坊の手

ケニア中央部で長距離バスに乗ると、席はすぐに満員になる。

二人がけの椅子の窓側に座っていると、なんと5人連れの親子が全員この椅子に座ってきた。お母さんが私のとなりに座り、ググッと詰めさせられ、お父さんが空いた少しのスペースに座り、子供3人は大きい順に、お父さんのひざの上、お母さんのひざの上、そして、最後は赤ん坊が当然のように私のひざの上。

赤ん坊をひざの上に乗せて、ぼんやりと窓の外を眺めていると、やわらかいものが私の頬を触った。見ると、黒人の赤ん坊が一心に手を伸ばして、私の顔を撫で回している。きっと黒人以外の顔を間近で見るのは初めてなのだろう。好奇心旺盛な、黒々とした目がきらきらと光っていた。

あのやわらかな感触を想い出して、目を細めている自分に気づく。安らかな時間とは、このように想い出される。