gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

左右の関係 2

左利きを不便に思うことはめったにないが、毎年この時期だけは例外だ。年賀状を書くときである。

年賀状の宛名や文章を、横書きで書き始めると、インクが乾かないうちに手で触れてしまって、紙面を汚してしまうのだ。
汚さないためには、インクを乾かしながら少しずつ書かねばならない。これは、相当な時間のロスである。

この解決策を冷静に考えてみたら、簡単だった。縦書きにすればよいのだ。


洋の東西を問わず、舞台では上手(右側)から、下手(左側)へ向かって川は流れ、風が吹く、と決まっているらしい。偉いもの、重要なものは、上手に位置する。

先日、「右肩上がり」と書いた。動きは左から右だが、絵的には、右側が高いのだから、これに一致している。つまり、「右肩上がり」とは、山をさかのぼるような動きで、なんとなく、「下剋上」という言葉を思い出す。「デモクラシー」を「下剋上」と訳した人もいたそうだから、今は、みんなが「右肩上がり」を理想とする時代なのだ、と改めて納得してしまう。

という理由なのかは分からないが、私の頭の中のイメージでは、風は左から右へ吹く。

横書きに慣れてしまったからだろうか。そう、横書きは左から右へ進む。日本語には、もうひとつ、縦書きがあり、これは右から左へ進む。


来年の年賀状は、縦書きにして、「デモクラシー」を離れて、水が流れるような正月を迎えよう。ついでに、紙も手も汚れないで済む。