gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

馬と旅する

ボルネオ島サバ州には赤道直下の騎馬民族が住んでいると聞いて、はるばるやって来た。馬に乗れるようになりたかったからだ。

なぜ馬に乗りたいと思ったのか。それは、内モンゴルの草原を自転車で走っているときに、地平線のかなたからだんだん近づいてくる、馬に乗ったモンゴル人に遭遇したからである。

モンゴル人は無数の羊の群れを従えていた。私は、目の前をゴーッという音とともに砂煙を立てて横切るその姿にポカーンと見とれていた。そして、彼らが立ち去った後にポツリとつぶやいた。「自転車より、絶対にかっこいい」

というわけで、サバ州である。ここへ来て気づいたのは、アジアの馬は小さい、ということである。日本の競馬場の馬は元々中東からやってきたらしい。まあ、そんなことはどうでもいい。モンゴルで見た馬も決して大きくはなかったし。

馬を借りて、一緒に旅に出た。最初は「速く走れ」と細い棒を振り上げたりした。馬は、最初はちゃんと走ってくれたが、突然途中で動かなくなったと思うと、振りかえって私の顔をじっと見る。目が「重い。降りろ。」と言っている。見ると首の辺りが汗でじっとり濡れている。

素直に降りて、しばらく手綱を引いて一緒に歩く。川岸の砂の上に来ると、馬は突然横になって、砂に体をこすりつけ始めた。気ままな奴である。自分もパンツ一枚になって、川の中に入る。しばし、それぞれで遊んだら、今度は「乗れ」と馬の方から背中を差し出してきた。

今思い出しても、ほのぼのとした一日だった。