gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

「買う」ということ

最近、青山オフィスの近くでは、リヤカーを引いた豆腐屋さんを見かける。

手づくりの豆腐のようだし、安全でおいしいんじゃないか、と想像する。商品の質もさることながら、スーパーで買うことの一番の違いは、買うときに会話がある、ということではないだろうか。あいさつを交わして、天気の話を二言三言するだけで、なんだか心がほぐれるような気がする。

スタッフ007は、買い物をするときは、何を買うか、と同時に、誰から買うか、ということにこだわるそうだ。だから、ネットでものを買ったりはほとんどしない。自分の感性に合う店で、感性に合う人から、納得して購入する。

子供の頃、駄菓子屋のばあちゃんに「また来たか」みたいな扱いを受けながらも、通い続けたことが懐かしく思い出される。したたかなばあちゃんとの駆け引きが、ぼくらを大人にしてくれたのかもしれない。もう遠い昔にその駄菓子屋もなくなってしまっただろう。駄菓子屋のばあちゃんがいなくて、全部が自動販売機だったら、思い出にもなりはしない。

ネットでどこよりも安く、だれとも会話をせず、どこにも行かずに、ものを買える時代になって、初めて真逆なスタイルが復権しつつあるのかもしれない。

それが昭和への懐古趣味に過ぎないのか、将来のライフスタイルへ必要な条件なのか、まだ明確ではないが、私にはリヤカーの豆腐屋さんが雲の隙間からの一筋の光のようにすがすがしく感じられる。