3月28日に坂本龍一が亡くなった。
この人に好感を持ったのは、30年ほど前に「EVカフェ」という村上龍との対談本を読んだときだ。
坂本龍一の友人である海外ミュージシャンが、靴下にできた穴を自分で縫って履き続けている、という話が書いてあった。「向こうの人の生活には豊かな時間が流れている」と言っていた。これを読んで以降、ぼくは靴下に穴が開くと、自分で補修するようになった。
だからなのか、彼の音楽の本質なのか、考えていた頭を空っぽにしてから、坂本龍一の音楽を聴いている。
夜の誰もいない海岸沿いを走りながら、久しぶりに彼のピアノを聴いた。こんなにこの風景に似合うピアノはない、と思った。
やすらかに。ありがとうございました。